相続税の豆知識_相続の発生から相続税の申告・納税までのスケジュール
2017年1月12日
相続税は、所得税や消費税と同様に申告納税制度が採用されているため、自分で課税の対象となる財産の総額を計算して税務署に申告を行い、納税を済ませる必要があります。相続税の申告と納税は、相続の発生を知った日の翌日から10ヶ月間で行わなければなりませんが、そのスケジュールを立てるにあたってまず知っておくべきことは「相続の発生を知った日」とはどのような日なのかということです。
相続の発生を知った日とは、基本的には被相続人が死亡した日と考えても差し支えはありません。人が亡くなるときは、病院や自宅で誰かに看取られるケースが大半であり、その場に居合わせられなかった人も多くが死亡日の翌日くらいまでには看取った人からの連絡で死亡の事実を知ることになるからです。
しかし、中にはこれに当てはまらない特殊なケースもあり、相続税法ではそのケースも想定して相続の発生を知った日を規定しています。例えば、被相続人が特定の人物に全財産を寄贈すると遺言にのこしていた場合は、その人物に相続税の納税義務が発生しますが、この場合はその人物が財産を贈られる事実を知った日が起算日となります。
また、長期にわたって連絡がとれていない親族がいた場合は、家庭裁判所の失踪宣告を行う決定が確定したことを知った日が起算日となります。被相続人の死亡以外で相続発生の事実を知った場合、事情が複雑なのであれば税理士に相談する必要があるでしょう。
相続の発生を知った日からの流れを簡単に述べると、まず遺言の存在を確認し、公正証書ではない形で残っていた場合は検認の手続きをとります。それが終わった後に戸籍関係の書類をもとに相続人を確定させ、遺産分割協議によって財産の分割方法を決めます。
協議がまとまったら、その内容を書面にのこして遺産の分割を実施し、相続税申告書の作成と添付書類の準備に入り、終わり次第税務署に書類を提出して納税を行います。ここまでの作業を10ヶ月間ですべて済ませなければならないので、葬儀がひと通り済んだ後はすぐに相続税納税までのスケジュールづくりにとりかかり、作業をすすめていきましょう。